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生活の中のユニバーサルデザイン

第16回 生活とユニバーサルデザイン

入浴という行為は、どこから始まるのでしょうか?浴室内に入ったときからでしょうか?それとも、服を脱ぎはじめたときからでしょうか?実は「お風呂に入ろう」と思った瞬間から、入浴行為は始まっているのです。今回はこれまでのセミナーのまとめとして、生活行為という観点から3つの商品を軸にユニバーサルデザインについて考えてみたいと思います。

1.移動とユニバーサルデザイン

10年前に比べて、現在ではユニバーサルデザインという言葉や概念が広く認知されるようになりました。このセミナーを開始したときのことを考えると、感慨深く思います。最近の住宅を見てみると、浴室・トイレ・洗面所など、とても高機能になっているばかりでなくユニバーサルデザインとしても非常に進化したといえるでしょう。しかし、住宅において浴室・トイレ・洗面所などの設備空間は上手くできていても、家を全体として見た場合、ユニバーサルデザインが行きわたっているか?十分ではないでしょう。

例えば、入浴を「体を洗う」「湯に浸かる」などの狭い意味ではなく、「お風呂に入るための行為のすべて」と広い意味で考えるならば、リビング・寝室から浴室までの移動や、脱衣して浴室に入るといった一連の動作が、入浴行為ということになります。

もし浴室に行く動線が確保されていなければ、入浴することはできません。快適に入浴するためには、浴室内行為だけではなく、入浴に関わる一連の移動・動作をすべて障害なくできるようにしなければならないのです。もちろん、これは入浴行為にだけ言えることではありません。日常生活すべてについて言えることでしょう。住まい全体を生活行為という観点から全体的に見直し、住宅内移動のために上手な動線づくりをすることが、安全で快適な生活につながるのです。

2.生活全般をサポートする「水まわり用車いす」

写真1 水まわり用車いす

「入浴行為を浴室内に限ったものではなく、移動まで含めたものとして考える。」ここでご紹介する「水まわり用車いす」は、こうした考え方の結晶であるといえるでしょう。

車いすを利用している方の場合、用途に応じて外出用と室内用の二種類の車いすを使用していることが多いと思います。室内用車いすは、室内のすべての場所で使用できるわけではありません。移動性には優れていますが、入浴やトイレなど水まわりの生活行為に適したものではないからです。

室内移動をサポートできて、なおかつ水まわりでも使用することができる車いすをつくれないものか。そうした発想から生まれたのが「水まわり用車いす」でした。一台の車いすで室内移動や入浴・排泄をサポートできるように考えられた車いすなので、2台の車いすを室内で使い分ける必要もないですし、保有する車いすの数やそれらの保管スペースが増えるといった心配もありません。

移動を含めた生活行為に配慮することで、住まい全体の「生活しやすさ」や「安全さ」を、実現することができたのではないかと思います。

ものを語る 工業デザイナー さかもとてつじさん

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