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生活の中のユニバーサルデザイン

第15回 浴槽とユニバーサルデザイン〜浴槽選びのポイント

一見すると「快適さ」の象徴のようにも思われる「背もたれ付き大型浴槽」。実を言うと、こうした浴槽も"危険な場所"となるおそれがあります。今回は、浴槽の危険箇所を解明しながら、特に在来工法の浴室に焦点を絞り、安全で快適な浴槽選びのポイントについてお話したいと思います。

1.一連の動作に適した、安全で快適な浴槽サイズ

背もたれ傾斜が大きく・なだらかな大型浴槽は、寝そべるために普通の浴槽よりもかなり長くなります。お湯を張って入れば浴槽内の身体に浮力が生じるので、身体が不安定になります。また、浴槽壁に足が届いていても十分な力で身体を支えることができないため、お年寄りなどが滑った場合は溺れてしまうこともあるのです。では、お年寄りから子供まで安心して入浴できる浴槽とは、どういった浴槽なのでしょうか?

イラスト1 浴槽の長さ

まず浴槽内で身体が滑ったとしても、脚がしっかりと浴槽壁に当たり、身体を支えるために踏ん張ることができる寸法でなくてはならないでしょう。大型浴槽の内槽は約1200ミリメートルもの長さがあるものもありますが、安全性を考慮すると内槽は950〜1050ミリメートルが適正な長さだといえます。このサイズなら、一般の成人から、子供やお年寄りまで、ゆったりと入浴できます。

イラスト2 浴槽の高さ

また洗い場床面から浴槽リム面までの高さ(またぎ高さ)は、400ミリメートル程度が望ましいでしょう。前回にもお話しましたが、あまり高すぎると、またぐ際に身体のバランスを崩すおそれがあります。子供からお年寄りまでが楽に・安全にまたげる高さ、ということを考えると、400ミリメートルが最適だといえます。また低すぎることも避けなければなりません。「フローピア」の回でも少し触れましたが、浴槽のリムは手すりとしての役目もあります。洗い場から立ち上がるとき、400ミリメートルの高さは非常につかみやすく、立ち座りに伴う危険を回避することもできるのです。

イラスト3 浴槽の深さ

次に浴槽の深さですが、500〜550ミリメートル位が最適な深さであるといえるでしょう。肩まで浴槽に浸かる習慣の日本では最近まで、600ミリメートルの深めの浴槽が好まれていました。しかし、浴槽内でバランスを崩したときなどの安全性と、浴槽への出入りのしやすさという点で、浅めの浴槽が望ましいといえます。"肩までどっぷり浸かる"ことだけを考えるならば、この寸法では浅いと思われるかもしれません。しかし、洗い場床面と浴槽底面との高さの差が大きいと出入り時に身体が傾き不安定になります。入浴に関わる一連の動作からみると、500〜550ミリメートル程度が適切なのです。

浴槽は、入浴にかかわる一連の動作から考えて、長さ・深さ・高さのバランスのよい適正なサイズである必要があります。"浴槽に浸かっている状況"など、一つの場面だけで考えるのではなく、入浴行為・動作を全体的に見たときに安全で快適なものを選ぶようにしましょう。

ものを語る 工業デザイナー さかもとてつじさん

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