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生活の中のユニバーサルデザイン

第13回 段差解消システムバスルーム「フローピア」2

「シニア向けフローピア」は出入り口段差解消のほかにも高齢者等に配慮した様々な工夫が盛り込まれています。以下に紹介する2つは現在では”あたりまえ”であるものの、開発の当初は画期的でした。そしてこれらを開発するにあたっては”福祉の現場”に係る人たちの知恵が貴重なヒントとなっているのです。

1. 福祉の現場から生まれた「洗面器置台カウンター」

「ニューバスルーム」を検討する中で「浴室出入り口の段差解消」に取り組みましたが、そのほかにも高齢者や障害を持った人への配慮として考えなければならないもの、そして解決のヒントが沢山あることを福祉の現場から教えられました。
北陸のある老人ホームを訪問、そこのスタッフである作業療法士(OT)と要介護高齢障害者の入浴についていろいろ話し合う機会がありました。そして、作業療法士が「自分や施設の職員が工夫した共同浴室を是非見てもらいたい」というのです。そこには浴槽から出入りするための手すり、床マット、などいろいろ工夫したものがあるのですが、彼が第一に説明したのは洗い場の床に天地逆さに置いてあるビール運搬用ケースでした。そして「浴用イスに座った状態で床に置いた洗面器を使う場合、腰を大きく曲げなければならず高齢者には使いづらい、また介護する人も負担が大きい。そのため、洗面器を置く台としてビールケースを利用している。」ということを教えてもらいました。

イラスト1 浴用いすと洗面器置台の高さ
これは当たり前のことであるにもかかわらず、当時の私たちは考えもしないことでした。この体験が「洗面器置台」をフローピアに設置するきっかけとなりました。
「洗面器置」の設置高さ(b)についてはその後の実験により、浴用イス座面高さ(a)に対して、マイナス50ミリメートルからプラス100ミリメートルに設置すれば使いやすいという結果を得ることができました。そして浴用イスは従来の座面高さ(18センチメートル程度)より高いもの(35センチメートル程度)を使うと立ち座りが楽であり、かつ安全であることを確認しました。(※1)
こうして「洗面器置台」と「座面の高い浴用イス」とがセットされたシステムバスルーム「シニア向けフローピア」は生れました。あの時老人ホームを訪れていなかったならば、もしかするとまだ「フローピア」は今の形になっていなかったかもしれません。

※1:座面35センチメートル程度の入浴用いすを使用すると、浴槽のリム(へり)や手すりを掴みやすくなり、立ち座りに伴う転倒の危険が少なくなります。

イラスト2 立ち座りの安全
ものを語る 工業デザイナー さかもとてつじさん

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