高齢化社会に対応した住宅を作るというとき、浴室の段差解消にこだわったのには理由がありました。それは、本質的な部分で浴室の問題点を解決しなければならないと考えたからでした。
当初、TOTOの開発者達は高齢者でも使えるようにと、既製の浴室部品を改良することに注力していました。
そんな時にある著名な研究者から、「水まわりだけを別個にして考えるのではなく、住宅全体を見渡したときに高齢者が生活する上でどういう問題点があるのかを考えてみてはどうか。そして、その中からTOTOの持っている技術で取り組めることに挑戦してみてはどうか。」というアドバイスをいただきました。これには、目からうろこの落ちる思いをしました。高齢者の視点に立って考えなければ、使いやすい製品は生み出せないのだとはっきり分かったのです。
これより、さまざまな身体状況を抱えた高齢者と障害者の生活研究を開始しました。研究を重ねていくと、現状の問題と解決しなければならないポイントの全体像がだんだんと見えてきました。それが浴室の「使いやすさ」と「安全性」です。そして、この点を突き詰めていくと、解決しなければならない問題として、特に浴室の段差解消という大きな課題が明確になってきたのです。
| ※高齢者・障害者における浴室での問題点 |
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「使いにくい」、「使えない」、「家族の使用」の「高齢者・障害者などへの配慮」の図
| 高齢者・障害者等への配慮 | 出入口段差 | 出入口幅 | 手すり | 浴槽形状 | 洗面器置台 ・椅子 |
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| ・使いにくい ・危険 |
転倒 | ○※1 | ― | ○※2 | ○※3 | ○※4 |
| 溺死・ほか | ― | ― | ○ | ○※5 | ― | |
| ・使えない | 介助 | ○ | ○ | ― | ○※6 | ○ |
| (水)車いす | ○ | ○ | ― | ― | ○※7 | |
| ・家族の使用 | ○ | ― | ○ | ○ | ○ | |
※1:浴室踏み入れ時の不安定さ、の指摘:材質が異なる場合のすべり。
※2:出入り口付近の手すり。
※3:浴槽リム幅(第2の手すり)
※4:不自然な姿勢からの立ち座り。
※5:浴槽深さ、背もたれ傾斜。
※6:背もたれ傾斜、エプロン高さ。(600ミリメートルでは無理)
※7:介助者が桶に湯を得ることができない。(手が届かない)
ただし、高齢者や障害者を特別扱いするような発想からではなく、高齢者や障害を持った人達を含め、みんなが安全に使用できる浴室設計をしなければならないとも考えていました。こうしてすべての人に使いやすい浴室空間を追求していった結果、たどり着いたのが「段差なしシステムバスルーム」だったのです。
*2:ノーマライゼーションとは・・・障害者・高齢者を特別視せず、普通の人と同じように受け入れ、必要な処置をしていく、という考え方。このためには建築や機器などにおいて、健常な人はもちろん、障害者・高齢者にも使いやすいものの開発・設計が必要になります。