皆さんはユニバーサルデザイン浴室としても評価の高いシステムバスルーム(*1)「フローピア」をご存知でしょうか?前回お話したニューバスルームは、在来工法の浴室の空間提案をしたものですが、残念ながら商品化はしていません。ですが、高齢社会に向けたニューバスルームの空間デザインとそのコンセプトは、浴室の空間設計の中で生かされているのです。それがユニバーサルデザイン浴室のパッケージ、「フローピア」という空間なのです。今回はこの「フローピア」についてお話します。
*1:TOTOでは戸建住宅用に床パン、壁パネル、浴槽などをパッケージ化したユニットバスルームを、システムバスルームと呼んでいます。
![]() フローピア魔法びん浴槽 |
現在、TOTOで販売している「フローピア魔法びん浴槽」の初期型、「シニア向けフローピア」が実際に商品化されるまでには、実にさまざまな経緯がありました。段差を解消したバリアフリー設計のシステムバスルームというと、最近になってようやく作り始められたものだと思っていらっしゃる方も多くいることでしょう。しかし、システムバスルームがはじめて形になったのは、今から22年も前のことなのです。
「フローピア」の原型は、通産省の呼びかけによってはじまった「新住宅開発プロジェクト」(1981〜1983年)で生み出されたものでした。「新住宅開発プロジェクト」というのは、様々な企業や専門家がアイデアを出しあって、近い将来に訪れる超高齢化に対応したモデルハウスを建造するという実験的な試みでした。その中で「浴室の出入り口段差なしシステムバスルーム」が製作され、TOTOは図面の提案という形で参加したのです。
ところが、当時「段差なしシステムバスルーム」は、残念ながら重要性を認識してもらうことができず、商品化に漕ぎつけるまでには至りませんでした。
しかし、このとき「段差なしシステムバスルーム」は、はじめて形として生み出されたのです。
![]() シニア向けフローピア |
そして、高齢社会対応が叫ばれはじめた1993年、TOTO創立75周年を記念した展示会で再度、日の目を見ることになります。「今度こそ、段差なしシステムバスルームを商品化したい」という思いを込めて、試作品を作りあげました。また、浴室出入り口に段差がなければ、脱衣所(あるいは居室)で入浴の準備を整え、車いすごと浴室に入れますので、室内と浴室で使える介助用車いす(TOTO商品名:水まわり用車いす)の試作品にも着手しました。段差なしシステムバスルームは、工務店などから大変な反響を得て、会社内でも商品化の気運が高まり、商品としては最初の「シニア向けフローピア」が、プロジェクトから十年以上の歳月を経てようやく誕生したのです。