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生活の中のユニバーサルデザイン

第8回 知る人ぞ知るバリアフリー便器の歴史と使い方 その2

3. 住宅には汚物容器を洗う場所がない

生活の中で洗う必要のあるものは、食材や食器、衣類や体だけではありません。その一つが“しびん”“ベッドパン”などの汚物容器でしょう。しかし住宅ではこれらの汚れ物を洗う場所が確保されていないのが一般的です。では、どこでどのようにして洗うのか??
汚物容器をキッチンで洗うは論外でしょう。浴室で洗うのも気がすすみませんし、その都度屋外の流しで洗うのも難儀です。汚物容器などを洗うための流し“マルチシンク”というものがありますが、スペースに余裕がない住宅では設置できない場合が多く、困った問題です。折り合いをつけるとすれば、やはりトイレで汚物の処理をするのが自然でしょう。このため便器に水栓金具(蛇口)を取り付けました。

4. バリアフリー、ユニバーサルデザインと介護

写真3 便器説明3 クリックすると拡大します

※写真をクリックすると別ウィンドウで大きく表示します。

高齢者等の介護現場においては“しびん”“ベッドパン”のほか“ポータブルトイレ”が使用されています。“しびん”“ベッドパン”の洗浄だけでは住宅用としての配慮が不足していることは確かです。ポータブルトイレのバケツ洗浄も切実な問題ですから・・・・。
TOTOではその後、トイレ設置型の“しびん洗浄水栓(ケアクリック)”を開発しました。これはすでに設置済みのトイレに後から取り付けることができますから、これをポータブルトイレのバケツ洗浄用として利用することもできるでしょう。

トイレは清潔、快適空間であるとともに、時代の生活ニーズに合った機能空間としての可能性がいろいろあるのではないでしょうか。バリアフリー、ユニバーサルデザインというと高齢者や障害者が自ら直接使用する機器・用具・環境等を対象として考えがちですが、それだけではなく介護する人等、生活支援者の環境「介護が大変な環境か、介護しやすい環境か」という視点で考えることも必要でしょう。

(※1:現在の経済産業省)
(※2:高齢者・身体障害者ケアシステム技術の開発「住宅設備・部材に関する最適構成法についての研究開発」プロジェクト。1982〜1984年)

 

<参考>
住宅設備・部材に関する最適構成法について研究開発プロジェクト
このプロジェクトでは、この他にも汚流し兼用便器(TOTO)、昇降式キッチン(サンウエーブ)、昇降式洗面化粧台、昇降便器(TOTO)、出入り口段差なしのユニットバスルーム(TOTO・積水化学)、天井走行リフト(明電興産)、住宅用エレベター(三菱重工)など日本ではじめてのものが研究・提案され筑波の通産省工業技術院ほか全国3箇所に試作モデルルームが設置され、実際、障害者等が居住して評価実験が行われました。 これらの成果は各製品に関連するメーカーにより商品化が検討され、商品化され軌道に乗るまでにはいずれも10年ほどの時間を要していますが、現在ではそれぞれ住環境バリアフリーの中核となっています。

ものを語る 工業デザイナー さかもとてつじさん

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