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生活の中のユニバーサルデザイン

第6回 介護現場での手すりの重要性

介護の現場にいると「1本の手すりが命の綱」という状況に遭遇します。
ここでは2件の事例をお話しましょう。

1. 1本の手すりが命の綱(1) Aさんの場合

まず1件目のAさんは脳梗塞で右半身が麻痺しています。お風呂に向かうとき途中まで杖を使用し自力で歩いていけますが、浴室の前で止まってしまいます。その先からは介助者の手を貸り入浴していたのですが、介助者には大きな負担が掛かります。そこでAさんの行動をよく観察してみたところ、手すりがあれば立ち座り、体の回転ができる。そして自力で浴槽へ入ることができると確信しました。手すり(インテリアバー)を図の位置につけたところ、以下のようにほとんど自力で浴槽へはいることが出来るようになりました。(但し、介助者の見守りは必要です)

1番 左手で出入口の手すりにつかまり浴室に入り、シャワー椅子に座る。
2番 手すりにつかまりながら立ち上がり、身体を回転させて浴槽リムに腰掛ける。(この時、介助者が脇下を軽く支える)
3番 左手で浴槽壁面の手すりにつかまりその後、左足を浴槽に入れる。右足を浴槽に入れる際は介助者が足を支えて浴槽リムを乗り越える。
4番 浴槽内に腰を降ろし、湯につかる。

※図をクリックすると別ウィンドウで大きく表示します。

イラスト1 手順の説明1 クリックすると拡大します → イラスト2 手順の説明2 クリックすると拡大します → イラスト3 手順の説明3 クリックすると拡大します → イラスト4 手順の説明4 クリックすると拡大します

ポイントは、手すりにより、短い距離の移動、段差乗り越え、立ち座り、そして体の方向転換ができるようになったことです。家族やヘルパーは、介護の負担が軽減しました。そして、介護されているAさんも、心の負担(申し訳ないという気持ちや遠慮)が軽くなり、入浴の楽しみや満足感も生れ、生活全般への意欲も生まれてきているようです。手すりをつけたことで、みんなが少しずつ楽になった訳です。

ものを語る 工業デザイナー さかもとてつじさん

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