前回、「トイレの進化(和式→洋式→ウォシュレットがついて→手元でリモコン操作)がユニバーサルデザイン」とお話しましたが、実はユニバーサルデザインについて考える上で、この「進化」という考え方は、とても重要でかつ必要になると思います。
一時、ユニバーサルデザインの代表のように言われた、テレフォンカード(プリペイドカード)の端部に施された切欠きは、触覚記号として視覚障害の有無に限らず、公衆電話を使う時に、カードを差し込む方向がわかって便利でした。しかし今では、携帯電話が普及して、公衆電話を利用する機会も少なくなったので、"テレフォンカードの切欠き"よりも、むしろ"携帯電話が視覚障害の方にも使えるか?"という話題の方が多くなりました。ユニバーサルデザインは、"時代や社会に合ったテーマであるか"、"生活者のニーズに合っているか"ということが、重要な評価点になっています。つまり、ユニバーサルデザインとは、時代に合って、進化するデザインであるかという考え方が源流にあることを理解してください。
腰掛便器も、和式便器と比較された40年前(*)は、しゃがんで排泄ができずに困っていた人が、便器を使えるようになったわけですから、より使える人が増えた点で画期的なユニバーサルデザインでした。しかし、現在は当たり前ですね。「腰掛けて、姿勢が楽」ということに加えて、ウォシュレットや便器洗浄などの「操作がわかりやすい」「操作が楽」という点も満足できる商品であることが求められています。
(*1959年に日本住宅公団の公営住宅で腰掛便器が採用されたことを皮切りに、1960年代の高度成長期の建築ブームで急速に普及しました。)
このように、ユニバーサルデザインは、これで完結だというという最終到達点はなく、時代とともに、「1.誰にでも使いやすくするために 2.進化していること」が重要なのです。