住まいというと、家の中のことだけを考えがちです。しかし、快適な住まいづくりを考えるとき、一軒の家の中を住まいやすくしただけでは十分ではありません。家の外部にも工夫を凝らす必要があるのです。今回は、玄関までの空間づくりの工夫についてお話しましょう。
玄関の話に入る前に、住まいづくりの考え方について少しお話しておきたいと思います。
住まい方という観点から見たとき、欧米では住まい方の変化や身体状況の変化に合わせて、住まいを移り変えていくのが一般的です。それに比べて、日本ではひとつの家に住まい続けることが多いといえます。日本のように一軒に住みつづける場合は、住まい方の変化など将来見込まれるあらゆる状況に対応できる住まいづくりを心がける必要があるでしょう。
しかし、家には一人で住んでいるわけではないということも忘れてはなりません。誰か一人の身体状況の変化に対応できたとしても、家族の他の人たちにとって住みにくい家であるならば、その家は快適な家であるとは言えないでしょう。誰にとっても生活しやすく、家族みんなの住まい方の変化や身体状況の変化に配慮した住まい。こうした住まいが、すべての人々にとって本当に快適な住まいであるということができるのではないでしょうか。
空間づくりを考える際、住まいの内外のどこであっても、この点にだけは配慮して欲しいと思います。
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| アプローチ |
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| 門扉 |
まずは玄関までのアプローチから見ていくことにしましょう。例えば、道路と玄関の高さがほとんど変わらなければ、大きな段差を通過する苦労もなく玄関まで入ってくることができます。しかし、立地条件によっては、道路と玄関の高さが異なるために、階段やスロープを設けなければならない場合もあります。
拙宅は玄関と外路の高低差が60センチメートルあるのですが、この段差をつなぐために階段をつけました。道路と敷地の境界部の段差はなくし、玄関までの間に高さ15センチメートル以下で幅1メートル以上の階段を4段設けてあります。一般的には、玄関の高さは道路の高さと同じ位にして、上がり框を40センチメートルくらいにしますが、それでは年を取ったときに玄関での上がり下りが大変になってしまいます。イスに座って靴を脱ぎ履きすることも想定して、上がり框も15センチメートルにして、それ以上の高さの段差をつけないようにしてあります。
しかし、15センチメートルといっても段差がある以上、将来、年を取った場合や車いすを使用するようになった場合には、玄関前の階段の上り下りに困ってしまうのではないかという心配もあるかもしれません。しかし、15センチメートル程度の高さであれば、脚力が衰えたとしても、上り下りが苦痛にならない高さだといえます。また、階段の幅を広く取ってあるので、介助で前輪を上げるなどすれば、車いすのお客様が来た場合でも玄関まで上がってくることが可能です。
段差は危険という考え方が一般的ですが、実は段差解消のためのスロープをつけることで逆に困ってしまうケースもあるのです。スロープは歩くときに体勢が不安定になりますし、お年寄りの場合、膝に負担がかかる下り坂で転倒してしまう場合さえあるのです。また、車いすの場合、勾配の大きなスロープや長いスロープは負担がかかるので、自力で上ることが困難になります。こうした様々なケースに上手に対応するためにも、高さが低く幅の広い階段を設けることが望ましいでしょう。