皆さんは、「寝る」ための道具をどのような基準で選んでいますか?もしかしたら、動作をどれだけ適切に補助してくれるかということだけに注目しているかもしれません。しかし、どんなに機能が優れていても、快適な寝心地を得ることができなければ決して良い用具だとはいえないのです。
動作の補助ばかりを考えて、寝具としての基本的な機能をおろそかにしてしまうと、十分な睡眠をとることができず、目覚めた後の活動力が鈍ってしまいます。快眠によって一日の疲れを取るためには、やはりリラックスできる寝具が必要なのです。
というわけで今回は、皆さんに快適な睡眠を確保していただくために、用具選びのポイントをお話してみたいと思います。
在宅で使用される介護用ベッドの場合は、費用やメンテナンスのしやすさといった事情から、主に化学繊維製のマットレスが使われるのが一般的です。しかし、このマットレスは少し硬いので、必ずしも良い道具だとはいえません。実際、利用者の中には寝心地が悪く感じられる方もいらっしゃるようで、やわらかさを確保するために、マットレスの上に敷布団を敷いてしまうということがよくあります。
またこのマットレスは通気性が良い分、冬場には寒さを感じてしまうため、敷布団を敷く事を助長してしまいます。初めて介護用ベッドを使う方はマットレスについてあまり知識がないので、「こんなものだ」となんとなく使用してしまうのです。
しかし、マットレスは替えることができます。一般的には、マットレスを選ぶという考え方はあまり浸透していませんが、介護保険で借りているマットレスは使ってみて身体に合わなければ取り替えて貰うことができるのです。
皆さんは何気なくマットレスの上に敷布団を敷いてしまうかも知れませんが、安全面を考慮するとオススメできません。次の2つの問題点があるからです。
1、 一般的な在宅ベッドでは、床からマットレスの下までの高さが25〜6センチメートルくらいです。これに8センチメートルのマットレスを載せると、33〜34センチメートルくらいの高さになります。これは身体の小さな女性でも、床に足を着けられるように配慮された高さです。しかし、それに5センチメートルの厚みの敷布団を載せてしまうと、38〜40センチメートルの高さになってしまいます。これでは、多くの女性の方は床にしっかりと足を着けることが難しくなり、姿勢が安定しづらくなります。ベッドから出るために端座位になったとしても、転落の可能性がありますし、次の動作に安定して移っていくこともできません。転倒の危険を避け、端座位から安定して次の動作に移っていくためにも、足が届く高さを確保するようにしてください。
2、 在宅介護用ベッドの幅は、一般的に83センチメートル、91センチメートルに設定されています。ところが、この上に敷布団を敷いてしまいますと、敷布団は1メートルの幅がありますので、ベッドからはみ出してしまいます。これでは電動の背上げが扱いづらくなったり、またベッドの端の部分から布団が垂れてしまっているわけですから、座ったときに滑り落ちてしまう危険もあります。
このように、マットレスの上に布団を敷くと安定した姿勢を確保することができないので、マットレスだけで使っていただきたいと思います。