正しい歩き方をしていないと歩くことが苦痛になってしまうように、車いすを正しく操作していないと車いすでの移動も苦痛になってしまいます。「車いすでの移動なんて簡単だ!」と思う人も中にはいるかもしれません。しかし、誤った使い方をしてしまうと、転倒する危険もありますし、大怪我をしてしまうことだってあるのです。また間違った操作を続けたり、座り方が悪かったりすると、疲れてしまい車いすに座ることさえ嫌になってしまうかもしれません。ですから、操作に困難を感じることなく、快適で安全に移動するためにも、車いすでの正しい移動の仕方を知っておくことが大事でしょう。
というわけで、今回は車いすを使った移動の仕方についてお話してみたいと思います。
自走式の車いすの操作方法には「両手駆動」、「片手片足駆動」、「両足駆動」の大きく分けて3つあります。それぞれの操作の仕方についてみてみましょう。
(1)両手駆動
両手でハンドリムを握り「ぐるっ」と回して、前に進んでいく方法が両手駆動です。操作の際には「姿勢のくずれがないこと」、「ハンドリムが操作しやすい位置にあること」、「ハンドリムが握りやすいこと」、「重心が後方にあること(大車輪の側に荷重があること)」に注意しましょう。姿勢がくずれていたり、重心が前にあったりすると「旋回性」、「操作性」、「安定性」が悪くなります。ですから、姿勢がくずれやすい場合には座面の角度をつけてあげましょう。またハンドリムが手から少し遠くにあると感じる場合は、車軸の位置を変えてあげると良いでしょう。
操作のコツは、子供の頃やった「汽車ポッポ」ごっこのように手を『ぐるっぐるっ』と同じテンポでゆっくりと回していくことです。そのとき、一回一回ハンドリムをしっかり握ってしまい、手でブレーキをかけるような回し方をしないように注意しましょう。ハンドリムを握ってぐるっと回したら、手を離して円を描き、ハンドリムを軽く押すようにリズムよく回すといいでしょう。
車いすでの移動は、回した時に速度が上がり、減速し、また回した時に加速するというのではなく、同じ速度を保って進んでいくことが理想的です。そのためには、同じテンポで「汽車ポッポ」をする練習をお勧めします。
方向転換するときは、曲がりたい方向のハンドリムを後ろ向きに回し、もう一方のハンドリムを前に回すと、狭い場所でもスムーズに旋回することができますよ。
(2)片手片足駆動
片手でハンドリムを回し、足で舵取りしながら方向を定めて進んでいく方法が片手片足駆動です。足で方向を定めるため、車いすのレッグサポート(足を乗せるためのプレートとそれを車いすへ取り付けるためのパイプ部分)を取り外すことができ、足が地面につくよう座面の低い車いすを選びます。操作の際には、「姿勢のくずれがないこと」、「麻痺側のひじと足をしっかり支えること」、「車いすのキャスターが操作する足の邪魔にならないこと」に注意しましょう。
上手に片手片足駆動を行うためには、まず手を使わずに身体をしっかり前に倒して足だけでこぐ練習を行います。片手片足駆動では足を使って舵を取るために、身体をしっかり前に倒し、足を地面につけ姿勢を安定させなければいけません。先に手でこぐことを覚えてしまうと足が前進の邪魔になってしまい、姿勢が後ろに崩れます。ですから、足が邪魔だと感じさせないためにも、まず足だけでこぐ練習をして、姿勢を維持したまま上手く足を使いこなせるようにすることが大切です。このことができるようになれば、姿勢を崩さずに足で方向を定め、手でハンドリムを回すことによって、上手に移動することができるでしょう。