次に歩き方についてお話しましょう。
T字杖を持って歩く場合、一番安定した歩き方をするためには、3つの動作に分けて歩くと良いでしょう。
(1)健側の手で杖を持ち、杖を前に出す。
(2)患側の足を出す。
(3)健側の足を出し、足をそろえる。
この歩き方は三動作歩行と呼ばれますが、常に二点で身体を支えているために安定性が高い歩き方だといえます。
自分で身体の安定性を保つことができて、もう少し速く歩きたいという場合には(1)と(2)を同時に行い、2つの動作に分けて歩くと良いでしょう。
この歩き方は二動作歩行と呼ばれ、安定性は三動作歩行より劣るものの、歩行の推進力という点では三動作歩行よりも優れています。
患側の足でふんばることができ、自分でバランスが保てるようになってきたら、同じ三動作歩行、二動作歩行でも、動作の最後で足をそろえず、健側の足を患側の足よりも前に出してあげることで歩幅が広がり、さらに歩行の速度を上げることができます。
ただし、健側の足が患側の足を通り越して前に行くということは、前の方にバランスを崩しやすくなりますので注意が必要です。
片足が不自由な人が階段を上る場合、
(1) 手すりを持つ。
(2) 健側の足で先に上がる。
(3) 患側の足を引き上げる。
順番が違うと、患側の足はふんばりが利かず、健側の足を引き上げることができません。
反対に階段を下りる場合は、
(1) 手すりを握る。
(2) 健側の足を曲げつつ、バランスを取りながら、患側の足を先に下ろす。
(3) 健側の足を下ろす。
このとき健側の足から先に下ろそうとすると、患側の足を曲げなければなりませんが、足を曲げてしまうと身体を支えきれず、転倒する危険があります。
ですから、階段の上の段に、常に健側の足があるような仕方で階段の上り下りをすると良いでしょう。
余談ですが、足首を動かすことができない場合や固定ができない場合には、長いスロープを歩くことをお勧めできません。スロープは角度があるので、安定して歩くことができないからです。
正しい歩き方さえ知っていれば、階段を上り下りする方が身体を安定させることができます。
足が不自由なときこそ、補助具などを上手に使って正しい歩き方を実践しましょう。そうすることで活動範囲も広がっていきますよ。