講習会などで数名の方に「もっともよい姿勢で車いすに座って下さい。」と言って座ってもらい、「そのまま体を動かさないで下さい」とご協力いただきます。すると10分もたたないうちに、「お尻が痛い」と苦痛をうたえられます。そこで、身体の不自由な人の「座る」ということ、「座り方」について考えていただきます。
例えば、自分で姿勢をなおせない高齢の方がデイ・サービスに参加した一日を考えてみましょう。一日中、車いすに座らされて、ほとんど姿勢を変えてもらうことなく、同じ状態のまま座り続けている。座っている間に姿勢が崩れ、お尻がずり落ちそうになっていたり、体が片方に傾いたりして苦しい。これでは、せっかく起き上がって、ベッドから離れても、寝たきりの方がまだましと思ってしまいます。お尻が痛くて、車いすから立ち上がろうとした人に「危ないから座っていて」と言いがちですが、崩れた姿勢で同じ姿勢で座り続けることは大変です。
普段私たちは無意識のうちに、足を組み替えたり、重心の位置を変えたりと、お尻をずらしたり、「座り方」をかえています。それで快適な姿勢を取り直し続けているのです。
「座り直し」は寝返りと同じで、快眠に程良い寝返りが必要なように、快適に「座る」ためには「座り直し」が必要なのです。寝たきりにならないためにも、まず活動しやすい姿勢を作ってあげ、そして安定した「座り方」を確保し、程良く「座り直し」をさせてあげることが重要なのです。
今までは、「座る」ということは何でも一緒だと思っていませんでしたか?そして、座ることが不自由な方は、快適に座れるための配慮が必要だとおわかりいただけましたか?
私たちは普段、「座る」ことが当たり前すぎて、無頓着であるかがわかりますね。しかし、「座る」ということには、活動するための基礎とでも言うべき重要な要素が隠されているのです。「座る」ことを理解すると介助の仕方や、車いすやベッドなどの福祉用具の選びかたも変わってきます。
次回は「よく座るためのポイント」(仮題)、骨盤の傾きを中心に、座るメカニズムについてご説明します。