快適な浴室空間のプランを作る際に、まず念頭においておくべきポイントについて、ご説明しましょう。
(1)浴室の場所は、寝室から近いところに設計するのが理想的です。例えば、寝室で衣服を着脱し、シャワーチェアーで移動するような場合は、移動距離が長いと途中で身体が冷えてしまうことがあるからです。
(2)他の部屋と同様、入り口部分でのつまづきを防止するために、段差解消することをお奨めします。また、浴室は入り口だけでなく、内部にも転倒の危険が潜んでいるのが大きな特徴です。
洗い場の床が水で濡れていたり、石鹸やシャンプーでヌルヌルして滑りやすくなっていますから、転倒防止を十分に考えておく必要があります。また浴槽の中も、モイスチャー成分が入っている入浴剤などを使うと、滑りやすくなるので注意が必要です。
(3)浴槽への出入りは、安全のために、浴槽リム面などにいったん腰掛けてから入ることを基本に考えましょう。立ったまま出入りできる方でも、足腰が弱ってくると浴槽をまたぐ際にバランスを崩しやすくなるからです。
ただし、浴槽リム面などに座ってから入る習慣は身についていませんから、浴室の改修に合わせて、出入りの動作を見直したり入浴台を利用したりすることも大切になってきます。
(4)浴槽のなかで身体を安定させることができず、お尻が滑って溺れてしまうケースは、決して少なくはありません。足が突っ張ることで滑り落ちが防げるような大きすぎないサイズの浴槽を選ぶなど、配慮しましょう。
(5)浴室内の狭い空間では、身体を洗う動作(洗体動作)がスムーズにできるよう、空間設計をしましょう。例えば、洗面器置き台を取り付けて、上体をかがめることなく身体を洗うことができるようにする、介助者が立つ場所やシャワーの取り扱いを配慮した位置関係を考える、などです。

(6)水栓金具などの選定にあたっては、ご本人や介助者などが楽に操作できるものを選ぶようにしましょう。温度調節ができる混合水栓(お湯と水が一つの蛇口から出てくる水栓)を使って、いきなり熱湯が飛び出さないようにするのも方法です。

(7)特に冬場、寒いままの浴室に裸で入っていくと、急激な温度変化についていけず、体調を崩してしまう場合があります。浴室は事前に暖める工夫をしましょう。
浴室を暖める方法として、湯気の熱気で暖めようとする方もいますが、同時に湿気で滑りやすい環境を作ってしまうことになります。事故の予防という意味でも、乾いた空気で暖められるようにしましょう。

(8)入浴中は体調が変化する場合もありますから、浴室外にいる介助者や家族に通報ができる設備を設けましょう。
万一の場合に備えて、浴室内から意思表示ができる環境を整えておけば、ご本人一人でゆったりとお風呂を楽しむことができ、自立性を高めることにもつながります。
(9)浴室は狭い空間ですが、福祉用具を上手に活用することで、目的とする行為が達成しやすくなります。
(10)浴室は、水やヌメリで足下が滑りやすい場所です。お掃除がしやすい空間づくりに努めましょう。
快適な浴室づくりのためには、浴室内の空間設計だけでなく、ベッドを離れてから脱衣場、浴室の洗い場、浴槽までの移動やアプローチ方法をどうするか、衣服の着脱をどこで行うのか、トータルな視野でプランニングすることが大切です。 例えば浴室内の改修にすべての予算をつぎ込んでも、浴室までの移動が普通の車いすでは難しく、小回りがきくシャワーキャリーが必要だった、ということもあり得るからです。
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